一般社団法人 日本穀物検定協会様
2012年10月時点
お客様概要
一般財団法人日本穀物検定協会様は、穀物等の正確な検量と品質の判定を行う技術能力をもつ第三者検定機関。
農産物検査、農産物検査員育成、米の食味官能試験、米の鮮度判定、飼料・包装証明、米の品種鑑定、穀類の産地判別、かび毒・微生物分析、残留農薬・重金属分析、放射能検査、JAS認定、中国との技術交流と協力事業、情報提供システムなど多方面にわたります。
米の食味官能試験については、全国の産地品種について「米の食味ランキング」の実施、または取扱い業者から、試験機関として、食味官能試験を実施している。
導入場所
米の食味官能試験
対象となるお米を炊飯し、パネルが「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目について基準米との差異を比較評価する。
食味官能試験は品質が平均的とされる基準米との比較試験。
毎年協会が基準米を選定・購入し、食味官能試験を実施している。
試験は全国5ヶ所(札幌、東京、名古屋、神戸、福岡)にて行う。
基準米の購入や保管は一企業では対応が困難であり、また正確な試験を行うにはパネルが経験値を上げることが重要であるため、協会が実施することに意義がある。
食味官能試験には、主に、二つの目的がある。
- 全国規模の産地品種について食味ランキング評価
- 農業試験所・炊飯器メーカー・個人農家・お米屋さんからの依頼試験
依頼試験は、協会が保有する基準米と比較する場合と、依頼者が設定した基準米と比較する場合の2パターンがある。
米の食味ランキング
生産調整の開始を契機に、良質米の生産を支援しようと昭和46年にスタートし、平成22年度米で40回目。23年産米は、北海道・ゆめぴりか、鹿児島・あきほなみ、など新品種も含めて45道府県から129産地品種を対象に実施した。特Aランクの選定は平成元年からスタートした。
こぼれ話
お米は、評価項目すべてが高いから全ての料理に合うとは限らないという。粘り・甘味が強く、艶があって単品では美味しくても、用途においては向き、不向きがあるようだ。
米の食味官能試験をする際のパネル選定の嗅覚試験
食味官能試験を担当するパネル選定を毎年1回行う。
パネル選定の試験は、嗅覚試験と味覚試験の2種類。
このうちの嗅覚試験に、パネル選定基準臭を採用している。
食味官能試験は機械ではなく、人間の感覚で判定するものなので、これを判定するパネルの選定を行っている。
パネルは職員から選抜しており、その中でも、嗅覚能力が高い人員を選抜したい。
そのためにパネル選定用基準臭を用いて、においの嗅ぎ分けができることを、嗅覚試験で確認している。
試験方法
試験は5種類2段階(A~Eレーンの『選定基準濃度』と『PL1』)のにおいを用い、『5-2法』で実施する。
においの影響に配慮し、ついたてを中心に検者と被検者が2mくらい離れてやり取りするようにしている。
所要時間は、1人で10~15分。2組で並行して進めても半日を要する。
試験室は、20人を収容できる広いスペースで行っている。
食味官能試験、嗅覚・味覚試験、会議室を兼ねている。
お米アドバイザー
食味官能試験の啓蒙活動として、平成24年から『お米アドバイザー認定事業』をスタート。
生産者、米販売業者、外食事業者をはじめとする事業者を対象に、お米に関する最新かつ高度な専門知識を学習していただき、信頼される商品の販売や新たな事業創出に生かしていただく事を目指している。
『お米アドバイザー』の講習では実際にお米を炊いて行う食味官能試験と、パネル選定のための嗅覚・味覚試験など、香りや味に対する訓練のステップを紹介している。
実施頻度は年2回(8月と2月)。
リピーターを増やしてスキルアップを図り、『お米マイスター』『お米鑑定士』と並び、『お米アドバイザー』の社会的地位を確立したい。
お米アドバイザーの試験
お米アドバイザーの試験の中に、食味官能試験の実習がある。
食味、味覚、嗅覚の試験の中の嗅覚試験に「パネル選定基準臭」を採用している。
短時間で実施するため、嗅覚試験は5種類のうちの3種類のみ使用している。
お米アドバイザーは、これから広めていこうとしている事業なので、今後は、アドバイザーの方向けに、においのトレーニングを、啓蒙していきたいと思っている。においの強弱や、嗅覚強化などを視野に入れている。
お米アドバイザーの試験の様子
改善してほしい点
- 試験に時間がかかりすぎる。簡素化したい。
- 試験の段取りをしなくて済むように、スターティングセットを売ってほしい。
- 嗅覚テストの順番、やり方などの情報も提供してもらいたい。
- 炊飯に近いにおいが欲しい。(そういった情報も欲しい)
- パネルの順位付けを細かく決めたいので、パネル選定用基準臭により鼻の良さの指標になれば良い。
たとえば中心濃度は〇%の人が嗅げて、PL1は〇%など。指標となる数字が欲しい。 - 全商品を単品で購入できるよう、売り方に考慮してほしい。
- 使い方、保管の仕方などより詳しく情報提供してもらえれば助かる。
- においに対していろいろとご提案してもらいたい。
- ニオイ紙に基準臭を適量浸すのが難しい。